万物理論

万物理論 (創元SF文庫)

万物理論 (創元SF文庫)

長らくの障壁というか課題というか段階だった“ディストレス”撃破。
SF的なギミックを大いに待ちわびながら読んでいたので、(宇宙消失の経験があったとはいえ)大部分のギミックが炸裂する中盤あたりまではなかなか読みづらかったというか。前半は重厚なSF世界の基盤が連なっていて、そこだけでも十分に楽しめそうなものなんですが。
主題が出てきてからは何というかスケールが圧倒的でコレ。キーワードが多いため完全な理解は困難だなーとか何とか。決着は示唆されていたとはいえ、エピローグはなんというか、完結している釈然としなさで不気味な爽快感が。
認識と許容の実体というか、具現化というか現実化というか。“ディストレス”の困難さに巻き込まれて翻弄される複雑な体験。