体感分離

昨夜のこと。
寝ながら本を読んでいたらいつの間にか眠っていたらしい。うつ伏せ/掛け布団なし/片手に本を持ったまま。クーラーがオフタイマーで切れ、寝苦しさに目を覚ます――眠りについてから大体三時間後ほど。目を薄く開け、その時点で本を持ったままだということに気づき、置こうとして、
そこで身体が動かないことに気づいた。

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     /⌒三 ⌒\
   /( ○)三(○)\  きたお……金縛りきたお……
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何のイメージもなしに発動したため大いに混乱する。だがそのとき、ふとアレを思い出した。落ち着いて、そのまま目を閉じイメージを開始する。体内での分離、視点の移行、感覚の生成。そんな感じでアレの段階を思い起こしていくと、背中を中心に微弱な震動が来た。身体が下へ縛り付けられるような感覚と同時に、体内で分離した“内部のもの”が外側へ引き寄せられていくような感覚。と、震動が始まってからしばらくして、左のほう(左耳は下を向いていたため方向としては真下から?)で、何かが炸裂するような軽い、パン、という音。その直後に音は線を引くように耳元に寄って来て、明らかな男の声で何かを言った(喋った、という風ではなく、ひとつの単語を連呼していたといった感じ。日本語や英語ではない)。幻聴――ちょっとした恐怖感。しかし構わず続行。
両手に力を込めるようなイメージで、“内部のもの”を押し出す。すると一気に身体(この時点で既に視点が“内部のもの”に移っていたはず)が軽くなり、天井まで浮かび上がった。天井にぶつかって上昇が停止。そこから壁に沿って動く――風船の気分。その間に分離後のセオリーを思い出し、“目を開け”、自分の手を見た。それまでモノクロだった視界(今になって考えてみると、イメージして目を開ける前から自分が浮かんでいくところは見えていた。だが、意識して目を開けたのはこの手を見ようとする瞬間だった)が掌を中心に着色されていく。手を見た瞬間、身体は重さを取り戻し、床に立つ。そして、何かをしようと考えるより先に意識は途切れた。
分離できたのか、ただの明晰夢なのか、正直なところ判断がつかない。
もし正しい分離の順序だったなら、次はもう少し面白い体験がしてみたいところ。