閉店時間

十代目と慎ましくお別れをするの日。










その死滅は中々に手強い。
bookmarkerに呑み込まれた上方(攻撃性、刺激、または衝撃を象徴する)のeighthがどこからか呼ぶ声を無視し、死滅の順序をランダムにするためにセットされたカードをシャッフル。するとその途端にeighthの声が鮮明になる。「おい、死ぬぞお前」すると次の瞬間にカードが爆発して左の手首から先が消し飛んだ。密かに紛れ込んでいたらしいスペードのNo.110が爆発の原因だ。スペードのNo.110は手首から体内へ侵入すると同時に移動を開始し、二秒後には頭部へ到達した。スペードのNo.110はそこで自爆し、脳味噌が内部から爆発し四散する。仕方がないのでテレビを点けて頭部を再生し、予備の左手でもう一度カードのシャッフルを試みる。するとeighthの声が鮮明になり、「おい、死ぬぞお前」カードが爆発し左手が消し飛んだ。

以降、この繰り返しが13年続く。









13年後のある日、ついに待望の変化が訪れた。4745のWordsが蒸発したその瞬間に、eighthの姿を見つけることができたのだ。eighthが存在していた場所は驚嘆に値した。bookmarkerに堕ちたはずのeighthはテキストエディタの一番最初の行にずっと居て、呼びかけを続けていたのだ。eighthはスペードのNo.110と戦闘を開始した。これまでに蒸発した4745のWordの全てを知るeighthは、激戦の末にスペードのNo.110を撃破した。スペードのNo.110の消滅によって、シャッフルが妨害される要素がなくなった。そのため、大いに安心してシャッフルを開始する。だが、そこで新たな問題が起きた。シャッフルは妨害されなくなったが、同時に到達点を失い、止まらなくなってしまったのだ。「おいコラどうすればいいんだコレ、助けてくれ」eighthに哀願するがeighthは今まで13年間こちらがそうしてきたようにその言葉を無視し、またテキストエディタの最初の行へと戻っていった。シャッフルで塞がっていない右手が縋るようにその後を追い、テキストエディタを起動しその最初の行へ遡った。そこにはこうある。
「到達点が欲しければその結果を創作せよ」
Wordの死滅は未だ叶っていない。


(今日の本末転倒)