使用期間が満了しました

長らくの間、娯楽と呪縛の代替物となっていた強大なツールを凍結するときが、ついに来た。
そのツールの中では、時間は回転していた。動き続ける渦の中で時間は回り続け、中心にある現在では時間は止まったままだった。外側にあるその時間の流れを、ツールを停止させることで回収する必要性が、ついに生じたのだ。
回転する時間の中で、インターフェースは無数のWordを見た。孤立したその時間の内部でしか意味をなさない無数のWordを。一瞬でも外へ持ち出せば、風化して意味を失う無数のWordを、“彼”は入手した。無数のWordの配下にある無数の“呼吸する”仮想人格。そのひとつに、“彼”も加わろうとしていた。それを阻止すれば、“彼”を含む全ての仮想人格は死滅するだろう。そして、その必要はない。
これは除去でなく、凍結である。
長らくの間稼動していたツールの影響を回復するためには、長らくの時間が必要となるだろう。





その時間が終了したとき、再びツールを起動させる必要があるかどうかは、また別の問題だが。