1997


■1:折りたたみ電話とか次元なんたらとからへんの未来観とか街・人・色彩の雰囲気がスマートでかっこいい。戦闘は三回目くらいで飽きた。あとはまあカート・ウィマーだしあんまり野暮なことはいわないでおく。
■2:最高。途中のところどころに入るどっかのFLASHゲームみたいな安っぽい打撃の効果音とか一切気にならなくなるほどに最高。FBI捜査官ジョーはマフィア組織の末端に接触して組織に潜入する:壮年の下っ端レフティの弟分となって、ジョーはドニーという名で潜入捜査の成果を挙げていく。ただの弾丸一発で本当にあっさりと死ぬ人間を久々に映画で見た気がする。派手なシーンもなく進んでいく淡々とした雰囲気が、ジョーがごく簡単に殺される場面を想像させてぐっと緊張が高まる。ジョーはマフィアとしてのキャリアのフェイクを積み上げながら、次第にレフティに情を移していく:レフティがまたいいおっさんなんだな。ライオン飼わされて、息子が薬中で、下っ端のクセに幹部気取ってるけどいいおっさんなんだ。出世から完全に落ちこぼれてて、弟分のはずのドニーに追い抜かれそうになって拗ねるけどいいおっさんなんだ。そしてレフティも次第にドニーへ信頼を置き、その呼称がいずれ“親友”に変わる:だがシーンがジョーのキャリアに戻った瞬間に、それもフェイクにすぎないことを思い出させられ、それがなんというかこう、いい。そしてジョーの潜入捜査は終了し、同時にドニーとしてのキャリアも終了する:“店”も“船”も。何度も意識させられてきたラストが、そこで“ついにきた”という思いになる。そして最後の“呼び出し”を受けて、レフティが身に着けていたものを外して仕舞っていくトコなんてもう、最高のシーンでしょう。“お前だから許せる”:潜入捜査の報酬500ドルとこの言葉が並んだとき、何がフェイクか考える必要はなくなる。いやー、最高。いまんとこ自分の中で最上の作品にランク、って12年前のだコレ。
■3:おやすみ。